カメラをやっている方の中で「いつか写真展をやってみたい」と思っている人も多いと思います。ただ、「お金がかなりかかりそう」「準備が大変そう」などの理由で躊躇している方も多いかもしれません。
今回の記事ではそんな方のために、30回以上にわたって写真展を企画・運営してきた私の経験をもとに、お安く楽しみながらできる写真展のやり方についてご紹介したいと思います。
*今回の記事では初めて写真展を開催される方向けに、ごく小さなギャラリーやお店など小規模で開催する方法を書いています。大きなギャラリーや美術館など大規模な写真展の開催については今後書きますのでご了承ください。
写真展の流れ
①写真展をやろうと思う。仲間を集める(グループ展の場合)
②テーマ・会場・日程を決める
③宣伝を始める(DM・ポスター制作など)
④写真を選び、作品を作る。額装や展示方法を決める
⑤宣伝を頑張る(DM配布、ネット告知、マスコミや情報誌への依頼など)
⑥会場への搬入
⑦写真展開催
⑧搬出・後片付け
⑨来場者へのお礼など
*自分の経験上の流れで、進め方にはいろいろ方法があります。
①写真展をやろうと思う。仲間を集める(グループ展の場合)
最初は負担や気持ちの面でもグループ開催の方が楽です。もし最初に一緒にやれる人がいなければ、ホームページやSNSなどで募集するといいでしょう。
意外とおすすめなのが、カメラ好きが集まる写真展や撮影会などに参加して誘ってみることです。
②テーマ・会場・日程を決める
仲間が集まったらテーマ・会場・日程を決めましょう。
会場はレンタルギャラリーや公共施設(公民館とか役所)、お店などさまざまな種類がありますが、見つからなければ写真展をやっているカメラマンやカメラショップなどに相談すれば紹介してくれるかもしれません。
いくつか候補をあげて、予算・スケジュール・立地などで絞り込みます。
日程は初めての場合、余裕を持って決めた方がいいです(僕はやろうと決めてから3週間後に開催という無謀なことをした経験がありますが・・・)
告知や作品作りのことも考えて、6か月くらいは余裕があるといいと思います。
テーマについては、ジャンルを絞る(風景・ポートレートとか)パターンや出展者それぞれに決めるパターンなどいろいろとあります。ただ借りるギャラリーなどによっては「だいたいのテーマを教えてほしい」「出展予定作品を何枚か見せてほしい」と言われる場合もあるので、その点は事前に確認が必要です。
③宣伝を始める(DM・ポスター制作など)
だいたい開催3か月前くらいまでにDM(案内はがき)の構想を練り始めます。さらに貼らせてもらえるようならポスター制作ができればベストです。
DMもポスターも、通常は写真展のイメージを伝えるような目玉となる出展作をベースに作ることが多いので、よく相談して決めましょう。
デザイナーや業者に依頼することもできますが、最近はフォトショップやイラストレーターといった専門のソフトだけでなく、ワードやパワーポイントなど基本的なソフトで制作できるテンプレートが無料でネット上に公開されています。
ギャラリーによってはDM制作&配布を代行してくれるところもあるので、確認しておきましょう。
④写真を選び、作品を作る。額装や展示方法を決める
準備と並行して写真の撮影や選考を進めます。
出展する作品が絞れたらテスト印刷などを行いながら、印刷作業を進めます。最近はパソコンやスマホなどのディスプレイで写真を見る方も多いですが、実際に紙に印刷してみると色がイメージ通りで無いこともあるかと思います。小さめの紙でテストしながら調整していきます。
印刷をお店に依頼する方も多いと思います。A4程度の大きさならすぐに印刷してもらえますが、値段が高めの用紙を使ったり、大きいサイズの用紙に印刷する場合は2~3週間ほどかかることもあるので、早めに印刷してみると無難です。
展示するために写真を飾り付ける(額装)は、市販の額に入れたり発泡スチロールのボード(スチレンボードやハレパネ)に貼り付けるなどさまざまな方法があります。
最近では額装せずにそのまま壁に貼ったり、吊り下げるという展示方法もあります。
会場によっては、壁に貼ることが禁止だったり吊り下げるための備品が無いこともあります。会場を借りる際に事前説明があることがほとんどですが、分からない点はこまめに相談しましょう。勝手な判断で展示すると、見た目が悪くなったりトラブルになることもあるので、不明な点は確認した方が良いです。
⑤宣伝を頑張る(DM配布、ネット告知、マスコミや情報誌への依頼など)
ある程度写真の選考や実務的な準備のめどがたったら、告知の方にも力を入れていきましよう。有名な写真家さんや影響力のある写真クラブの人なら、もともとある程度の集客が見込めますが、初めて写真展を開催する場合は積極的にいろんなところに声をかけることが大切です。
まずは友人やカメラ仲間にDMを渡して知り合いに配ってもらうなど、身近な人から告知を始めます。それと同時にホームページやSNSでも写真展の開催をお知らせしていきましょう。そのほか、意外と有効なのが写真展会場以外のギャラリーや写真愛好家の人が集まりそうな場所にDMを置いてもらうことです。「いろんな写真を見たい」と思っている写真好きな人は多いので、高確率で来場してもらえるかもしれません。
写真展開催の1か月前くらいにはマスコミや情報誌などにもお知らせして取材してもらうのがいいでしょう。各新聞社やテレビ局に直接DMと写真展の開催要項をお送りしてもいいですし、大変なら県庁などにある記者クラブの方に取材のお願いを送りましょう。DMや案内などを送ったあと、電話などで連絡を取ると熱意が伝わるかもしれません。
⑥会場への搬入
事前に会場に指定された日時に作品を持っていきます。展示するための備品が不足していたり、展示スペースがうまく埋まらないなどのトラブルも起こりがちなのでできるだけ余裕をもって時間を設定した方がいいです。
展示がスムーズに行くよう事前に会場を下見して、おおまかなレイアウトを決めておきます。会場で額装や展示方法が指定されている場合を除き、事前に額装した作品を持ち込むことになると思います。搬入日に手間取らないよう「あとは飾るだけ」という状態にしておくのが理想的です。
写真説明や出展者のプロフィール、副展示品(フォトブックやポストカードなど)を展示する場合も忘れないように準備しましょう。写真展が終わった後、来場者へのお礼や次の写真展の案内ができるように受付表(芳名帳)や感想を書いてもらう簡単なノートなどがあればいいと思います。
⑦写真展開催
いよいよ写真展の開始です。会場によっては係員の方が対応してくれる場合もありますが、できるだけ出展者が在廊するようにしましょう。
特に初日はマスコミの取材があったり、来場者が多くなる傾向があるのでできるだけ出展者は在廊した方がいいと思います。
在廊しているときは自分の作品を中心に説明をしたり、質問に答えたりが中心になります。もし時間があれば事前にそれぞれの作品について情報共有をしておくといいと思います。
写真展によっては会期中に撮影会やワークショップ、写真講評などをすることもあります。
⑧搬出・後片付け
会期が終わったら搬出・後片付けをして撤収します。その日のうちに全部撤収するのか、後日でもいいのかは事前打ち合わせで確認しておきましょう。
撤収は「来た時の状態に戻す」のが基本です。搬入の前にもとの状態の写真を撮っておいて、その通りに片づけをしましょう。片づけが終わったら会場の方のチェックを受け、お礼を言って帰ります。
⑨来場者へのお礼など
来場者にはできるだけお礼をした方がいいです。書いてもらった連絡先にお礼のはがきやメールを送ります。できるだけ1か月くらいの間に送った方がいいと思います。
初めての写真展のススメ
おおまかにですが写真展の準備の流れについて書いてみました。「やっぱり写真展て大変そうだな」と思われた方も多いかもしれませんね・・・
でもご安心ください☆
これまで写真展をやってきた経験をもとに、少しでも安く手間を省いてできる方法についてこれから書いていきたいと思います。
これまでいくつか「写真展を開きたいけどどうすれば?」という相談も受けてきました。みなさんが心配されている点というのはだいたい次のような感じだと思います。
①いい会場が無いし、借りるにも高くつく
②印刷や額装など作品の作るのにもお金がかかる
③人が来てくれるのか不安
だいたいこんな感じのご意見をいただくことが多いのですが、これを踏まえておススメの方法について次から説明していきます。
会場は飲食店や併設のギャラリーがおススメ
展示専用のギャラリーは敷居も予算も高いし、競争率も高いです。当然ある程度の集客力も必要とされてきますしね。
そんな中、おススメしたいのが「飲食店やお店に併設のギャラリー」です。
実際に私もカフェや飲食店の一角を借りたり、お店に併設のギャラリーで写真展をやらせていただくことが多いです。
実はこの方法はいろんなメリットがあります。
第1に、借りる際にかかる予算が専用のギャラリーに比べて抑えられやすいこと。
第2に、もともと店員さんがいるので最悪の場合でも、接客してもらえることがあること。
第3に、お店のお客さんに作品を見てもらえる=集客力がもともと期待できること。
一方で、お店の一角をお借りするので展示スペースが限られるなどのデメリットもありますが、最初の方は作品を大量につくる必要が無くなるので逆に好都合かもしれませんね。
ちなみに私の住む金沢市の場合、「金澤町屋」(古民家をリフォームした家やお店)が多く、カフェ&ギャラリーなどとなっているところも多いので、そういった場所を活用させていただいています。
そのほか、普段は写真展などをやっていないところでもお願いしてみると「少しだけなら置いていいよ」と言ってくれるところもあるので、みなさんも行きつけの飲食店やカフェなんかにお願いしてみるのもいいんじゃないでしょうか?
印刷は家、額装はハレパネ・吊り下げ・100円ショップで
写真展をやるとなると結構お金がかかるのがこの「印刷・額装」という部分です。
「印刷はお店にお願いして、額を買ってきて・・・」となると1万や2万円は普通にかかってしまいます。
そこで印刷に関しては家のプリンターをなるべく活用するのがいいかと思います。小規模のギャラリーや上で書いたカフェなどでは、大きくてもA4サイズくらいで間に合うと思うので、家庭用プリンター+市販の写真用紙で印刷すれば費用はかなり抑えられます。
額装の方も普通の額を買うと1つ2000円前後することがありますよね。
例えば1週間以上の長期展示をする場合は写真が徐々に反ってくることがあるので、きっちりと収納できる額に入れる必要性が高いです。
しかしA4くらいの大きさなら100円ショップでいい感じの額を扱っていることも多い(この前見に行ったら300円でしたけど)ので、かなり予算としては抑えられます。
もし数日の展示期間であれば、「ハレパネに貼る(1枚目)」「紐とクリップで吊り下げる(2枚目)」という展示方法もおススメです。
ハレパネとは発泡スチロールのボードの片面が両面テープのようになっているもので、そこに写真を貼り付けて使います。
少し大きめのものを買って、カッターナイフで切り分けて使います。だいたいA4で数百円でしょうか?
軽いので、ひっつき虫(練りけし)で壁に貼ったりイーゼルを使って立てかけたりと展示もしやすいのが特徴です。
コチラで探せます → ハレパネ
吊り下げは会場に紐などを貼って、そこにクリップで印刷した写真をそのまま吊り下げる方法です。100円ショップでも揃いますしオシャレにしたければ雑貨屋などにいい感じのグッズが売っています。
フォトブックやアルバムで見せるのも効果的
「多くの写真を見てもらいたいけど、展示スペースが取れない」「写真を座ってゆっくり見てほしい」という希望も出てくると思います。
実際にゆっくりじっくりと見てもらえる方が来場者の方も見やすいですし、印象に残る可能性が高くなります。
会場のスペースの関係で展示したい全部の写真を飾れないのはよくあります。
そういう時はぜひフォトブックやアルバムを作って会場に置いておきましょう。
「手に取ってゆっくりとご覧ください」とメモしておくと、じっくり見てもらえる可能性が高いです(持って帰ったり、会場内で見てもらう注意書きはあった方がいいですね)
作ったフォトブックは写真展が終わってからも記録として残せますし、何より自分の作品集として今後も使えるので、写真展をやるなら絶対に作ることをおススメします。
安くフォトブックが作れる「しまうまプリント」さん
落ち着いたマット系の雰囲気におススメ「Photoback」
ネットやSNS、DMをうまく使って告知しよう
ある程度常連客や集客力がある飲食店やカフェなどを借りられれば、その人たちにも写真展を見てもらうことができます。ただ自分たちでもカメラ仲間や友人たちに声をかけたり、積極的に告知していくことが大切です。
今はけっこうインターネットで情報を集める人も多いので、ホームページやFacebook・Twitter・インスタグラムなどをやっていれば積極的に告知していきましょう。その他に私が告知に使っているサービスでけっこう反応が良かったものをいくつかご紹介しておきます
イベントの告知を新聞社や旅行サイトなどに配信してくれるサービス。問い合わせ先などしっかりした情報を載せる必要がありますが、大手新聞社やじゃらん、JRなどの有力サイトに告知が載るので、かなりの宣伝効果があります。
有名なイベント告知サイトです。個別の告知ページを作ることもできます。
このほか、インターネットで検索すればいくつか告知サイトが出てきますので活用してみてください。
またアナログですが、手間がかけられるのならDM(案内はがき)を作成して、ギャラリーとかカメラの販売店などに置かせてもらうといいでしょう。そういった場所にはもともと写真に興味のある人が集まるので、高確率で写真展を見に来てもらうことができます。ギャラリーなどとも仲良くなれるかもしれませんし、一石二鳥です。
ちなみにDMの作成ですが、ネット上にテンプレートもたくさんありますし多くのパソコンに入っているワードやパワーポイントで作成できるサービスも増えてきました。
印刷もインターネット上で注文できるサービスなどを使えばかなりお安くできます。
よく使っている ラクスル(下記のリンク先) だと必要な300枚で2500円前後でしょうか?
DMを作らない人も増えていますが、宣伝効果は高いので安い出費だと思います。
まとめ
以上、個人的な経験も踏まえてある程度予算を抑えつつ、集客も見込めそうな写真展の進め方を紹介してきました。
初めて写真展をやられる方へのおすすめをまとめますと・・・
①飲食店やカフェそのもの、または併設のギャラリーでやる
②100円ショップや安い展示用品を使う。できれば自宅で印刷できる方がいい
③ネットを使ってうまく告知。DMはテンプレートやネット印刷を使えば安くできる
どうでしょうか?少しでも写真展への敷居が下がればいいのですが。
今まで自分でも個展やグループ展を企画してきて苦労もありましたが、写真仲間が増えたり、いろんな方と知り合いになれたりとカメラライフを楽しくしてくれたことは間違いありません。
今は昔と比べてホームページやSNSなど、自分の作品を発表できる環境は良くなってきていますが、写真展をやってみると思いがけない方から写真を褒めていただいたりアドバイスをもらったりと得られるものはとても大きいと思います。
今回の記事が少しでもみなさんの参考になって「自分らも写真展やってみようかな」と思ってもらえるとうれしいですね。
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