突然ですが「天才とは1%のひらめきと99%の努力である」という、かの発明王・エジソンの名言があります。何かを成し遂げるために努力の大切さを説いた言葉ですが、写真にもこの言葉はかなり当てはまると最近思います。
職業としてカメラマンをやっていると「やっぱりプロの写真は違いますね~」と言っていただけるのはとても嬉しいことです。写真教室に来ていただける生徒さんもそのプロが持つ「何かしらの特別な技術」を求めて、参加してくれている面もあります。
確かに写真界の第一線で活躍している売れっ子写真家、新しいアートを生み出し、SNSで引っ張りだこの人気写真家は特別な才能・センスをお持ちなのかもしれません。
一方で、自分にそんな「センス」と言えるものがあるかと言えば全く思い当たりません。「何が自分をプロたらしめているんだろう?」と自問自答の日々です。
ただ最近よく思うのが「写真とは99%の準備と1%のひらめきである」ということです。
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上の写真は2019年のよさこいとやまで撮影したもの。全国でも有名チームの「天空しなと屋しん」さんの演舞です。
もちろん全国トップクラスの技術をお持ちのため、それぞれの踊り手のタイミングがかなり正確なのですが、1つの演舞中に1回だけあるジャンプシーンをわりとナイスタイミングで捉えることができました。
実はこれは偶然ではなく、事前にYouTubeにアップされている演舞動画を何十回と見て、ほぼ完ぺきに流れを把握していたからなんです。
しかもちょっとした自慢なのが、連写機能を使っていないので1枚撮りで撮っています。
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↑金沢の人気観光地・ひがし茶屋街の対岸にある主計町茶屋街の裏路地で撮ったものです。
ひがし茶屋街に比べて人はかなり少なめですが、入り組んだ裏路地がちょうどいい明暗差を作ってくれるので、特に着物撮影には最適の場所です。
こちらは「明かり坂」という場所なのですが、モデルさんの後ろからちょうどいい半逆光の光が入っています。ちょうど道沿いに光が入るので人物はある程度明るく写せ、周りの建物はややしっとりと暗めに撮ることができます。
実はこの写真もかなり事前調べをしていて、季節や天気によって光の入り方がかなり変わるため、事前にGoogleマップで地形を確認、太陽の動きを調べるアプリで最適な時間を調べて現地に向かっています。
もし、よりエモい逆光の雰囲気で撮影したいという希望であれば晴れた夕方狙い、より明暗差を生かしてカッコよく撮りたい場合は雨の午前中など、撮影イメージによって天気や時間待ちをしています。
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このように一見、撮影風景だけを見ると「プロ独特のテクニックで上手く撮ってるんだろうな」と思われるような1枚でも、どちらかというと地道な事前準備・事前調査に時間をかけていることが多いです。
特別なセンスやテクニックを持っているわけでも使っているわけでもなく、念入りに状況を想定して、地道に調べ上げているだけです。
まさに「写真とは99%の準備と1%のひらめきである」です。
実際はこういった撮影の裏側をお話することは少ないので、写真教室でお話したり、カメラ仲間との雑談で話を出したりすると、意外な顔をされます。
確かにイベント撮影に行くために、そのイベントとの過去数年間の写真や動画を調べつくしたり、光や天気の状況を読むためにアプリを駆使し、天気図を読むことまでしていると「写真を撮るための準備は大変そう」と思われるのも何となく分かります。
ただ、自分自身の経験から言うと「準備や事前の調べものをすることは楽しい」です。
そのスポットの隠れた素晴らしさや人とは違った魅力に気付けるし、イベントが開催された背景や歴史なども深く知ることができます。
準備をしていくことで他の方より撮影対象に詳しくなり、撮影にも落ち着いて望める「事前準備の大切さ」をより多くの方に知ってもらえればと思います。
そんなわけで今日はちょっとした撮影の裏側のお話でした。